自律神経失調症

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第9章(7/12) 自律神経失調症「他人に甘えて期待する。でも誰も頼りにならない」

35歳女性。

動悸や胸苦しさなどの症状のために来院したこの女性は、ドクターショッピングと呼ばれることを繰り返していました。

つまり、どの医者の診断も受け入れられなくて、いろんな病院を訪れていたのです。大林先生のところに来るまで、心療内科のほか、内科、循環器科、呼吸器科などを中心に十カ所あまりを巡っていました。

ひとつの病院で検査してもらって異常なしといわれても、症状が続くので不安になってしまい、あちこちで受診を繰り返すのです。また、診断名が医師によって違うことも、不安になることと関係していました。

彼女の症状は動悸や胸苦しさのほかに、めまい、頭痛、疲れなどでしたが、診断された病名は心療内科だけでも、自律神経失調症、パニック障害、過呼吸症候群、心臓神経症など、いくつもあったのです。

大林先生がおっしゃるのには、医師によって診断が違うのは、心療内科や精神科ではめずらしくないのだそうです。それだけ、心や頭のしくみは、複雑で高度なので、まだすっかり解明されていないため、おのおのの医師の判断にまかせられているといったところでしょうか。


大林先生はこの女性に、病気の性質について説明し、抗不安薬を投与して、検査や説明の求めに辛抱強くつきあったようです。

数ヶ月たったある日、この患者さんは、人間関係の悩みと、自分の症状の関係について話しはじめます。

お姑さんや、近所の人とのつきあいで、胸が痛くなったり頭痛がしたりするのです、と。その後、父親が病気で倒れ、看病しているうちに急逝。父親が倒れたときから、彼女の兄弟はさまざまなことを彼女ひとりに押しつけて知らんぷり。ほかにも身内絡みのトラブルが続出。

心も体も疲労がたまっていくなかで、彼女は逆に、人に対しての自分自身がもっていた「甘え」や「期待」に気づき、精神的には落ち着きを取り戻していったのです。

そもそも、現在の症状が出はじめたのは、マンションの建設計画に反対して、結果が裏目に出て人に裏切られたと感じた頃だったことも、自分で気がついた。その後、通院回数は徐々に減り、薬も不要になり、通院が一応終了。一年後に再会したときは元気に暮らしていることを報告したのでした。

彼女につけられた病名のなかの、パニック障害と過呼吸症候群について少し説明したいと思います。


パニック障害
パニック障害では、呼吸困難、動悸、手足の痺れなどの発作が繰り返し起こります。そのため、またいつ発作が起きるのではないかと心配で(予期不安)、外出したり乗り物にのったりすることに不安を感じる(これを空間恐怖といいます)傾向があります。

原因がはっきりしていないといわれるパニック障害ですが、潜在意識(無意識)のなかにある不安などのネガティブな感情と関係がありそうです。


過呼吸症候群
過呼吸症候群の症状は、パニック障害と似ていますが、精神的なショックや怒り、興奮などが引き金になって起こることが多いようです。

呼吸というのは、空気を吸ったり吐いたりを交互に繰り返しますが、過呼吸症候群の発作を起こすと、空気を吸う動作だけを連続してしまう。それでフラフラと倒れてしまうのです。

過呼吸の発作が起こったときの処置法も教えておきましょう。

空気がもれない、空の袋(ビニール袋など)を、過呼吸の発作を起こした人の口に当てて、自分が吐いた息を吸わせるとおさまります。

息を吐かせて、その吐いた息を吸わせることで、血中の二酸化炭素濃度を正常にもどせるという理屈らしいです。


本の内容に戻りますが、文中の35歳の女性についての診断名は、ほかにもありました。引用させていただきます。

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また、彼女につけられた心臓神経症の診断も間違ってはいない。

検査では異常がないのに、かなりの期間、胸痛や動悸、息切れに苦しんでいるし、彼女が精神病とも思われないからだ。
さらに彼女は症状があると重い病気を見逃しているのではないかと考えてしまう傾向があったので、心気症という診断も可能である。

一方、彼女はこのほかにも頭痛やめまいなど、自律神経失調症と診断できる症状もあった。

自律神経失調症は元来、不定愁訴とよばれていた状態を指す。
この名前は自律神経が失調状態になっているため、さまざまな症状が出現するのだろうという仮説に由来している。
もっとも、現在においても実用的な自律神経機能検査がないので、その仮説は証明されていない。
明確な診断基準があるわけではないから、医師によって多用されたり、まったく使われなかったりする診断名である。(201ぺージ)太字強調は平井による。
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私も小学校のときに自家中毒(主に腹痛)を何度も起こして、自律神経失調症と診断されたことがあります。ここで興味深いのは、お医者様が診断する自律神経失調症も、仮説にもとづいているという説です。

ちょっと非科学的な感じがするお話しですね。(¨;)心の分野も、心とからだの関係についての分野も、解明の緒に就いたばかり、といったところでしょうか?

非科学的つながりで、その昔の治療法、瀉血(しゃけつ)のことを連想してしまいました。

瀉血とは、血を抜くことです。

昔、高血圧などは、血管を通る血の量が多すぎるだと考えられて、瀉血は西洋でも行われていました。

日本でも、昭和40年代ぐらいまで有効だと考えられていました。病院で血管注射で血を抜いて捨てるのです。医療行為として行われていたことです。子供心に野蛮で気味が悪く、治療的な意味が何もないような気がしたものです。(^^;

また、パニック発作といえば、フロイト派の被精神分析の記録『血と言葉』のヒロイン。『血と言葉』のなかで、ジャズコンサートの超絶な雰囲気のなかで、ヒロインが突然パニックに襲われ、死ぬのではないかと激しい恐怖にかられる描写があります。


『血と言葉』のヒロインも、私も、20代後半になって重い深刻な神経症に罹り、それを幸いにも完治させられたわけですが、神経症というのは永年の抑圧によるものであり、その抑圧による影響がまだ小さいうちは、パニック発作や、自律神経失調症などとして現れるようです。


『幸せの絆を求める女たち―心療内科の診察室から』大林正博著・アマゾン紹介リンク

この本の内容

第3章 ボーダーラインケース(境界例の症例)(1/12)

第7章 抑うつ状態(2/12)

第6章 反応性うつ病(3/12)

第1章 神経性過食症(4/12)

第2章 神経性食欲不振症(拒食症)(5/12)

第10章 人の意向にばかり合わせるくせがある(6/12)

第9章 自律神経失調症(7/12)

第8章 過敏性腸症候群(8/12)

第5章 パニック障害(9/12)

第4章 対人恐怖症(10/12)

第11章 解離性障害(11/12)

エピローグ そして誰もが絆を求めている(12/12)


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