反応性うつ病

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第6章(3/12) 反応性うつ病「わがままがいえる人がうらやましい」

31歳女性T子さんは、ご主人に付き添われて、大林先生が勤務している総合病院の心療内科外来を受診しました。

大林先生は重いうつ状態と診断し、入院を勧めますが、T子さんはご主人のほうをみて判断を仰ぐようなしぐさをするばかり。ご主人も入院を勧めるのですが、ますます迷ってしまうのでした。先生はとりあえず抗うつ剤をやや多めに処方して通院してもらうことにしますが、一ヶ月たっても改善しないために入院させたのです。

この女性の場合も、病気になった原因は、夫婦の間のコミニュケーション不足というか……結局はハッピーエンドになり、めでたしめでたしだったのですが、読んでいてちょっとヤキモキしてしまいました。

T子さんはもともとクラブで働いていた歌手兼ピアニストで、クラブで働いて充実した毎日を送っていました。今のご主人は、なじみの客でした。自分のやっている寿司屋にと誘われ、断る理由もなかったため、その人の運転する車に乗ったのですが、その人が途中で追突事故を起こしてしまいます。この事故で、T子さんは顔と指に怪我を負ってしまいます。とくに指の損傷がひどく、ピアノを弾くことができなくなってしまったのです。

顔は形成手術をすれば傷がわからないほどに回復するといわれたものの、歌だけで生活できそうになく不安を抱えていたところ、その事故を起こした客からプロポーズされ、思わず受け入れてしまった。しかし、結婚してみると、寿司屋の女将さんの仕事は想像以上に朝から忙しく、もともと社交的でない彼女にとって、つねに愛想よくしていなければならないのも気疲れすることでした。

T子さんの正直な気持ちとしては、自分に合わない寿司屋の女将さんではなく、独身時代のように外に働きに出たかったのです。でも、ご主人に遠慮して言えなかったし、おそらく、結婚してもらったという負い目があって、自分の気持ちに気づくこともなかったのでしょう。

このケースも、大林先生のお優しい気持ちが彼女の気持ちをとかすきっかけになったようですが、ノーと言えない立場にいる人、嫌なことにたいしても拒否できない状況にある人が、うつになるというのは、ここでも当てはまるようです。

それにしても……事故を起こして怪我をさせたなら、負い目があるのはご主人のほうのような気がするのですが、現実は逆なのでしょうか? 彼女は自分と結婚してくれたことに負い目を感じていたらしいのですが……。

女性がやりたいことをやれることや、自己実現、セルフ・エスティームと経済力の相互関係について、あらためて考えさせられる話しでした。

大林先生は男性なので、ご主人に経済的に甘えて頼れるのに、それでも外で音楽関係の仕事がしたいというT子さんの気持ちが、ちょっと疑問だったようです。


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この本の内容

第3章 ボーダーラインケース(境界例の症例)(1/12)

第7章 抑うつ状態(2/12)

第6章 反応性うつ病(3/12)

第1章 神経性過食症(4/12)

第2章 神経性食欲不振症(拒食症)(5/12)

第10章 人の意向にばかり合わせるくせがある(6/12)

第9章 自律神経失調症(7/12)

第8章 過敏性腸症候群(8/12)

第5章 パニック障害(9/12)

第4章 対人恐怖症(10/12)

第11章 解離性障害(11/12)

エピローグ そして誰もが絆を求めている(12/12)


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