心療内科は精神科より使える?!

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エピローグ(12/12) そして誰もが絆を求めている

開業したばかりの大林先生の「心と体のクリニック」(1997年)に、ひとりの男性がやってきました。

日に焼けたダンプカーの運転手です。その男性が、奥さんが浮気をするのではないかという自分の猜疑心に苦しんで、奥さんがいないと一睡もできなくなってしまった、自分はどうなってしまったのかと泣き崩れました。

大林先生は彼にたいしての慰めの言葉が見つからなかったと書いています。 「この人も絆を求めているのだ。空気のように当たり前だった絆が、些細なことでこんなにも脆く崩れてしまう。絆を確認する作業は、むしろ、その絆が確認しようのないものであることを確認する作業になってしまう。」とおっしゃっています。

私は、この人は『見捨てられ不安』がある人なのだと思いました。

心のどこかに、過去の体験から受けた傷があり、それが癒えていなかったことが考えられるのです。奥さんがどうのというのは、きっかけにすぎないと思うのです。もちろん、もし、こういう不安に苛まれている方と治療家として対面するとしたら、信頼関係もできていない最初から、いきなりその可能性を指摘するほど、不用意ではありませんが……。


こうしてみると、心療内科の果たしている役割は大きいですね。

私(平井)が思うに、体に異変があっても誰も驚かない。体の病気にかかれば同情もされる。でも、心が不調になると偏見の白い目で見られて差別される恐れがある。だから、最初から精神科に行くよりも、体の病気にかこつけて?心身症を診てもらえる心療内科のほうが、抵抗が少ない。

でも、患者さんが求めているのは、――自分でも気がついていない場合が多いのですが――、治してもらうのはもちろんですが、じつは、話に耳を傾けて聞いてもらえること、自分を受け入れて理解してもらえること、そのことによって、自分の気持ちを確認したいという気持ちも、大きいのではないでしょうか。

でも、こうした患者さんの、(言わなくても自分をわかって欲しい。私の話をいっぱい聞いて欲しい)という願いは、かなうことは多くないようです。カウンセリングが保険対象にならない日本の医療制度の都合もありますし、訪れる患者さんが多くて医師が忙しいせいもあるでしょう。

大林先生のところでは予約制で、面談に時間を割いているようですが、どちらかというと、精神科でも心療内科でも、薬物療法が中心で、話は数分というところが多いようです。

もちろん、薬物療法を否定するつもりはありません。薬でラクになったり、症状が安定している人もいるでしょう。ただ、薬では根本的な解決ははかれない。

話をじっくり聞いてほしい、心の治療をしてほしいという場合、セラピストや、心理療法家などのほうが適任のような気がするのですが、大林先生のような方がいて、カウンセリングという名の精神療法をしてくださるなら……。

心療内科は、体を診てもらっても異常がなかったときに最初に訪問する場所として適していると思います。

薬も処方してもらえるし、精神科よりも診てもらうのに抵抗がないのも利点ですし、また、他の治療法にとりくんでいるところもあるようなので、心の治療機関として他には代えられない立派な機能を果たしている、ということでしょう。


『幸せの絆を求める女たち―心療内科の診察室から』大林正博著・アマゾン紹介リンク

この本の内容

第3章 ボーダーラインケース(境界例の症例)(1/12)

第7章 抑うつ状態(2/12)

第6章 反応性うつ病(3/12)

第1章 神経性過食症(4/12)

第2章 神経性食欲不振症(拒食症)(5/12)

第10章 人の意向にばかり合わせるくせがある(6/12)

第9章 自律神経失調症(7/12)

第8章 過敏性腸症候群(8/12)

第5章 パニック障害(9/12)

第4章 対人恐怖症(10/12)

第11章 解離性障害(11/12)

エピローグ そして誰もが絆を求めている(12/12)


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