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精神分裂病(統合失調症)と心気症、妄想

うつ病や躁病に比べて、より重い精神病が精神分裂病(統合失調症)である。フロイトは精神分裂病(統合失調症)患者シュレーバーが書いた自伝『ある神経病患者の回想録』(1903年)を分析した。

ダニエル・パウル・シュレーバーは、裁判官でライプチヒ市(ドイツ)の名士だった。四二歳のとき重い心気症にかかって自殺未遂を三回繰り返したが、六カ月の治療によって回復。五一歳のときに、幻聴や幻覚、さまざまな妄想に悩むようになり入院、誇大妄想を経験した。その後、六〇歳で退院したが、六五歳で再入院。幻聴、妄想、奇異な行動の日々の中、六八歳で死亡した――。

精神分裂病(統合失調症)の特徴的な症状は、心気症、幻覚・幻聴、さまざまな妄想、世界没落感、誇大妄想などである。

心気症とは、体の変調に過度に敏感で、ちょっとしたことでも重大な病気ではないかと思いわずらう状態を言う。シュレーバーは、心臓発作で死ぬと考えていた。
妄想とは明らかに誤っている固定観念である。被害妄想(人が自分に害を与えようとしている)、注察妄想(周囲の人に監視されている)、関係妄想(だれもが自分の噂をしている)、嫉妬妄想(配偶者が浮気をしている)など。シュレーバーは「医師が自分を殺そうとしている」という被害妄想にとりつかれていた。


【平井のコメント】精神分裂病(統合失調症)だけではありません。

私自身の例と『血と言葉』の著者マリ・カリディナルの実例を見ても、不安発作も、心気症も、心身症も幻覚も被害妄想も、全部神経症患者にもあらわれるのです。ついでに……抑鬱や、この世が終わりそうな絶望感も、死の予感も、精神病患者が見せる激しいいわれのない恐怖感も、です。

個人にとって激しい不安や強烈なショックが、発病の因子だと考えられます。そして、これは強調しておきますが、たとえ精神を病み、気が狂った人間でも、回復への道はけっして閉ざされてはいないのです。


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