(4)不安神経症の症状、幻覚(幻視)の人種による?差異と共通点/『血と言葉』から

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治療で培われる医者と患者の人間関係が、治療効果をあげる

  『私(著者カルディナル)』が、幻覚症状について話すことができたのは、
精神分析に通うようになってから何年もの長い時間が経過し、
精神分析医が信頼が置ける人間だと思えるようになったころでした。

もはや精神病院に送り返される心配はないだろうと思った『私』は、
自分が抱えている奇妙な症状を語りはじめます。
 

神経症者の幻覚症状について

「時々、奇妙なことが起こるのです。
(中略)
左の目には、目の前の人と背景の隅々までがみえます。
ところが、右の目には同じようにはっきりと、
私の眼球に徐々に接合してくる筒がみえるのです。

筒が正しい位置におさまると、向こうの先端からこちらをのぞいている目がみえるのです。
筒も目も、左の目に映るものと同じように鮮明なのです。

これは現実からかけはなれた場所での出来事ではありません。
全く、私が現在体験している世界、同じ光、同じ環境のなかで起こるのです。

左の目に映った像は、右の目に映った像とまったく同じ存在価値をもっています。
一方は正常の光景をみせているのに対し、他方は私に恐怖心をあおる、
という違いを除いて。
私にはどうしてもこの二つの現実の均衡を保つことができず、
混乱して汗が吹き出し、逃げ出したくなるのです」

   ――『血と言葉――被精神分析者の手記』167ぺージより
 

神経症と幻覚症状の因果関係

管理人の私も、神経症になって、心理学や精神分析を学ぶまで、
精神科の病気については、一般の健康な人と同じ程度の知識しかもっていませんでした。

無知である、無関心である、ということは、誤解や偏見や差別の温床ですね。
幻覚が現われたとき、それがだんだんと頻繁に起こってくるようになったときは、
絶望しそうになりました。

幻覚は、イコール、純粋な紛れもない狂気そのもの、つまり、自分は完全に気が狂って、
狂人から精神病院で廃人になっていくしかないと思っていました。

私は、この『血と言葉』のなかに、フランス人作家で、国語の教師のヒロインが、
かつて自分とそっくりの幻覚症状をもっていて、しかもそれを完治させたのを知って、
とても驚くと同時に、胸をなでおろしました。

現実の日常の生活のなかに、現実と解離した幻覚が鮮明に現われてくる。
しかもそれが動きをともなっているのです。

ヒロインはこのあと、精神分析医の助けを借りて、
幻覚症状の原因となったこと……を探ろうと潜在意識の探索を試み、
ついに面接室で、幻視の原因を発見します。
正体をつきとめられた幻覚の症状は消え、自己の感覚への信頼感が戻ってきます。

私も、自分で自分を精神分析して、幻覚の症状が意味していることを
解明しようとしました。

その結果、幻覚は消えていきました。

他のいろんな症状も、原因をつきとめると即刻、
なくなってしまいました。これには本当にびっくりでした。

ところで……、ずっと前ですが、別な文献に、この『血と言葉』と同じような、ある
幻覚症状のことが書いてあったのを覚えています。

以前、テレビで、イギリスかどこかの西洋人で、同じような幻覚症状を訴える
女性をみたことがあります。

片方の目が現実を、もう片方の目が現実にはあり得ない幻覚を見るのだそうです。
テレビでは、ただめずらしい症状としてだけ取りあげられていましたが……。

以前の管理人をふくめ、日本人の神経症患者は、両眼融合的に?幻覚を見るようです。
どういうことかというと、日常の、今見ている現実のなかに幻覚がまぎれこんでくるのです。

たとえば、ある神経症の患者(男性)方は、現実のなかに、違う世界へ通じる
赤いドアが出現して開くのがハッキリ見えるそうです。

幻覚の認識のしかたにも、西洋人と東洋人とでは違いがあるということですね。

これが人種的な差異なのか、文化的なものなのかは、よくわかりません。

たとえば、欧米で生まれて育った日本人ではどちらの症状が現われるか、
それを確認できれば、人種特有のものなのか、文化的なものなのかを判別できるでしょう。
でも、そういう、こと細かな研究は、学者の仕事の範疇ですね。

心の悩みを抱えている人間に必要なのは、分類や差異の強調ではありません。
一日も早く治癒することです。
 

幻覚症状の原因

幻覚症状は、昔現実に体験したことと、あるいは現在体験していることと、
何か関連があることが、デフォルメ(変形・強調)されて、
視界に出現してくるようですよ。
『血と言葉』のなかのヒロインや、管理人の私の体験に照らし合わせてみると……。

問題や原因が何もないのに、そのような奇妙な症状が出るのではないのです。

神経症には病識(自分がおかしいという意識)がある

日本人にしろ、西洋人にしろ、それが幻覚だとハッキリ自覚できるところが、
不安神経症が狭義の精神病と区別されるゆえんです。

しかし、これが苦悩のもとでもあるんですよね。

自分の異変が自覚できなくなったらそれも困りますが、
でも、自分自身の狂気を毎日毎日瞬間瞬間突きつけられ続けることほど、
自信を喪失し、屈辱的で苦しく恐ろしいことはありません。 

 

記事>不安神経症の克服成功談『血と言葉』マリ・カルディナル
(4)不安神経症の症状、幻覚(幻視)の人種による?差異と共通点/『血と言葉』から


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