人の心を癒す技術と能力&自殺予防のために何ができるか(81号 2006・3・13)

こんばんは〜。(^^) ひらいです。

新しい方 初めましてです。

以前からの方、前回から数ヶ月も開いてしまい、ごぶさたでした〜。

予告していた自助グループは、自死遺族の会についてです。
 

自助グループの問題点 自死遺族の会に参加して感じたこと

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● 人を励ますには 
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これは、とくに、カウンセラーや心理療法家になりたい、とか、
人の役に立ちたいと願う方だけでなく、
多くの方に聞いていただきたいのですが、
たとえ悪意がなくても、勇気づけてあげるつもりでも、逆にそれが、
その人をかえって深く追い込んでしまう言葉があります。

ある自死遺族の会に参加して思ったことがあります。 

ちなみに、私は自死遺族ではありません。

こういう会は、自死遺族(家族に自殺された本人)である、
ということが参加の条件になっているのですが、
たまたまこのときは参加の条件が限定されていませんでした。

私は主宰として新聞に顔写真が紹介されていた女性の先生
――大学教授で精神分析が専門―― 
にお会いしてお話しをうかがえる絶好の機会だと思って隣の県まで行ったのです。

スタッフの方に訊ねたら、「今日はいらっしゃるかどうかわからない。
会の終わり頃にいらっしゃることもあるけれどはっきりしない」とのこと。

期待していた先生がいらっしゃらないまま、会の性質として
当然ながらあまりいろんなことをざっくばらんに話せる雰囲気ではなく、
そのまま自死遺族のための会がはじまってしまいました。

はじまってみると、一人の年配の男性と、スタッフをのぞいて、
全員が自死遺族の方ばかりでした。

順番が回ってきても話すことがないので、「パスします」と
マイクがわりのペットボトルを隣の方に渡して、身体を小さくして
他の方のお話しをうかがっていました。

「看板の」先生は、けっきょく最後までお見えになりませんでした。

ひょっとして……
その、精神分析が専門の女性教授は、この会にとって、
代表というのは名目で、看板だったのかもしれません。
このグループをつくるときに、国立大学の先生にトップになってもらって、
「うちは、けっしてあやしげなところではなく、この通り、れっきとした
権威ある官界の人物に 指導・監督いただいている会なのですよ」
というアピールを世間に向かってするための、看板としての代表者で、
実際の運営には携わっていらっしゃらないような印象でした。^^;

この会で考えさせられたのが……

 聴き手としてトレーニング(訓練)されていない人間に
 自分の心の傷を打ち明けることのリスクでした。
 

トラウマ体験(打ち明け話)を聞く側のトレーニング

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●自助グループのアキレス腱
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ファシリテーター(進行役)がいてグループ全体で話し合っているうちは、
自助グループのルール、批判・比較・説教・反論をしない、などが
守られていたのです。

が、遺族同士の相互交流の時間になって、
互いが直接に話し合う時間になると、意外な発言が飛び出しました。

ずっと昔に家族(親)に死なれて、十年以上も苦しみを抱えてきた
三十代の既婚女性がいたのですが「古株」らしく、その場でもサブリーダー的な、
活発な発言をしていました。

私にとってこの日大きな収穫だったのは、
自分自身が過去に何か苦しんで、それを克服した経験があったとして、
しかしそれだけでは、同じようなことで苦しんでいる他人を
慰めたり勇気づけたり、心をいくらかでも癒してあげられるようになる、
のではないということ!

この事実に気づいたことでした。

  私は、自分が、自分自身の神経症(不安障害・ノイローゼ)を克服したから
  他人を助けるのもそんなにたいへんじゃないのだろうな、と思っていたのですが、
  そういえば、今日までどれだけ長い期間、
  カウンセリングや、精神療法(心理療法)について自主的に学び、研究してきたか、
  すーっかり忘れていました。
  あ〜相変わらず、ボンヤリした性格は直っていませんね。(^^;ゞ

   でも、いったん、何かやろうと思ったら、実現のための努力をするのは、
   あらためて言うまでもなく当然のことだと思っているので、
   その粘りというか、情熱というか、陰でものすごい努力をしているのを、
   あえてあんまり表面に出したりしたくないという性格のせいでもあります。 (^^ゞ

「傷つけば、傷ついた分だけ人に優しくなれる」というのは、
一面ではその通りですが、必ずしもそうではないということを、
この日、目の前にいた三十代の女性から学びました。

遠くはるばるやってきたこの女性は(私も数時間かけてここに来ていましたが)、
この日初めて参加した40代のご夫婦 (学生の息子さんを自殺でなくした)に向かって、
訛り(なまり)を隠そうともせずにこう言いました。

――方言がほのぼのして味わいがあると思っている方もいるかもしれませんが、
 心優しい人と冷たい人がいるのはどこでも同じです。(;^_^A ――

「(あなたたち夫婦は)こういう会に(自死事件後)たったの半年で
 出て来れたなんて、スゴイさー! 
 私のときなんか、ずっと昔だから当時はこんな会なんてなかったし、
 あっだどしたって、こんなところまで、なかなか出てこれなかったよ!
 スんゴイことだよぉーー!」

まるでそれが、その人だけがよっぽど特殊であるかのような
ニュアンスで!

そう言われたご夫婦のほうでは、二人とも、ハッとした表情をして、
そのまま固まってしまいました。。。

「心の深い傷を互いにケア」するはずの場所では、
「自分と他人を比較しない」ことがルールです。

30代女性は、とくに意地悪をしようとしたのではなく、
他の人の気持ちについて、無知なだけでしょう。。。
カウンセラーとしての訓練も受けていないわけですから。。。。。

あるいは、プラスの意味で言ったのかもしれません。
その勇気を誉めたのかもしれないし、自分が愛着をもっている
このグループに参加できてよかったじゃない? と
強調したかったのかもしれません。

でも、それは少し干渉しすぎ。
現在やっとのことでここに来ることができた人、
これから心を癒そうとしている人間に向かって言うべきことではない。

この日の会が終わった後、同じ建物の一階で、
家路を急ぐ途中の その御夫婦と偶然バッタリ。

互いにさっきの会の参加者と気づいて、
旦那様とは軽く会釈をかわし、まだ目を涙で潤ませたままの奥様とは、、、、、

   、、、、 態度で 、、、、

目と、優しく触れ合う手で、会話をしました。

お互いの瞳に浮かんだ色を見れば、何が言いたいのかわかりました。
それだけで……充分でした。  

互いをそっといたわる気持ちを確かめるのに、言葉は不要でした。

・・・・・・・・
  

※ なお、この場合は、そうするのが一番自然でふさわしいと思ったから、
そう振舞いました。 

でも、心の傷は複雑です。
金太郎飴のように、どんな人にもどんな場合でも、慰めやいたわりや支持や承認などの
心的援助(精神的サポート)が万能で、有効というわけではありません。

自死(家族が「自殺」した、という言葉は聞くのもつらく、
「自死」のほうが無難な言葉だそうですが)遺族の精神的な痛手の大きさ、
強さは、鬱病や神経症(不安障害・ノイローゼ)の人とは全然違う性質のものです。
もちろん、どちらが深刻という比較の問題ではありませんので念のため。
 

自殺予防のためにできること

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●身近な人の自殺を防ぐために何ができるか 
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もし家族が「死にたい」と言ったら、
「バカ言うな!」とたしなめる親御さんや、
配偶者が多いのではないでしょうか?

これは愛情の表現なのかもしれません。

しかし、好きで死にたい人、楽しくてたまらないときに
死にたくなる人なんていません。

「死にたい」というのは、「助けて!」の意味なのです。

死にたいくらいつらい、このつらさをわかってほしい 
こんなにつらい思いのままでいるならば、死んだほうがまし、
自分は生きるに値しない そう感じている、ということを、
たった一言で 訴えているのです。

落ち込んでいる人、自分を責めている人は、
自分はなんて無価値な人間だ、
そう感じているのです

家族なら助けてくれるかもしれないと
……最初で最後になるかもしれないSOS を
汲み取ってあげてください。

なのに、「死にたい」という言葉にだけ反応して、
「馬鹿な」「情けない」などという言葉をぶつけたら……?

その人の苦しみ、やっとのことで口にした「助けて」という叫びを、
拒絶することになるのです。

取りかえしがつかないことになる前に、「馬鹿なこと」を言っている
家族の話を聞いてあげてください。

精神病に近い人格障害の場合、専門家の医療的な介入が必要になりますが、
そこまで害されていないのであれば、人は、誰かがわかってくれている、
誰かが自分の味方をしてくれている、ということが実感できただけで、
とても勇気づけられるものなのです。

その相手によって、またそのときによって、対応は変わってきます。

泣かせてあげたり、手を握ってあげたり、そっと抱きしめてあげたり、
ただ気持ちを聞いて、話をさせて泣かせてあげてください。

また、信頼できる(と思える)専門家(精神科医・カウンセラー)
のところに連れていってあげるのも、場合によっては効果が認められます。
 

激励や説得がよくない理由

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● 励ましが逆効果になる 
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なんとかして、自分がその人を落ち込みや苦しみから救ってあげようと
あれこれとお説教したり、励まそうとしたりして、
「言葉で動かそう」と働きかけるのは、マイナスになりがち。

悲しみが癒える、苦しみが楽になる、これには、それなりの時間と、
「場」が必要なのです。

「早くその感情を捨てて、日常生活に戻れ」と急かすのは、
「負担にならないよう、自分の都合に合わせてもらおう」
と無視して切り捨てることです。

あれこれと役立ちそうないろんなことを言ったとしても、
それは言われた人の助けになるというよりは、むしろ、
悲しんでいる人が 回復への道を進んでいく、そのちょうど真ん中に、
でで〜ん と 両手を広げて、通せん坊(とおせんぼう)して
邪魔しながら、「早く行けよ!」と急かすような、矛盾した行為なのです。

多くの人は、自分が他者にたいして、たいていの場合、
いかに無力な存在か、
どう対応して良いのか
まったく教えられていません。

だから、他の人が重荷を背負っていると、なるべく遠ざかろうとします。

でも、もしあなたが、その人に愛情を分けてあげられるなら……。

その人の存在そのものを肯定してあげてください。
今は嘆き悲しむことが必要なのだとわかってあげてください。

なお、もしも読者さんのなかに、自死遺族の方がいらしたら、
その方にとっては、上に書いた文章によって、
自死された家族への言動をふり返り、
慙愧(ざんき)に耐えない気持ちになるかもしれません。

その方には、この言葉を送ります。

「たとえ家族であっても、人生は他でもないその方自身のものであり、
 人生にたいする責任と選択も、その方自身にあったのです」


★ 次回のテーマは、「男性がもつ恐怖心について」です。

いただくご相談を拝見すると、性別によって悩みの傾向が違います。

私の受講生さんに限れば、
「恐怖心」そのものについての悩みを訴える女性は
まったくおられません。逆に、男性に顕著です。

男性と恐怖心という取り合わせについて、
以前は意外に感じたのですが、克服されていった受講生さんや、
克服しつつある受講生さんの体験をお伺いしているうち、
その理由が、少しずつ明らかになってきました。

この現象について、私なりの考察を述べたいと思います。


トラウマ再現と、癒しの治療、回復と成長に立ち会わせていただいて

『プライベート・アイズ』受講生さんがメールを寄せてくださるたび、
開封する前は、なんだろう?と いつもちょっと緊張する小心者の私です。

でも、日頃の積み重ねの成果、(……自分で言う f^^;)、
お花見よりも一足先に、輝かしい春がやってきたような、
明るい声が聞こえる嬉しいお便りばかりで、安堵と、喜びと、拍手です。

拍手は、受講生さんたちの努力に敬意を払って、です。パチパチパチ。(^^) 

皆さん不安を乗りこえて、今の成果を手にされました。

ちょうど卒業シーズンに合わせるように?、何人もの受講生さん方から
大きな成果の報告をいただいています。

このたびは、ほんとうに、おめでとうございます。

―― ちなみに、プラアイ卒業生というのは、
プラアイをマスターしてうまく使えるようになりました、
という私からの認定です。

これまでと何も変わることはありません。
必要なときはまたヘルプしますし、近況報告のメールも歓迎です。(^^) ―― 

 
うまく成功したどの方も、最初のうちは、皆さん、
どういう形でプラアイ(セルフ心理療法?!)が進展して変化していくのか、

――最大公約数的な、理想的な心理療法モデル?として、
平井の実経験が如実にテキストに示されていたにしても―― 

はたして、ご自身にうまくマッチするのか、予測できなかったはず。

どうやら心理療法とは、そういう性質のもののようです。
身体だって、外科手術で実際に開いてみて初めてわかることもあります。
心もそれ同じで、その治療法がどれくらい合うかどうかは、
蓋を開けて、実際にやってみないとわからないのです。

私は今まで、寄せられる質問に、とにかく必死に答えていって、
それらが想像以上に、それぞれの受講生さんの方に
うまくフィットしていたようです。

最近では、『プライベート・アイズ』受講生さんたちの、
自己治療?(セルフセラピー)のゆくえについて、
およその見当がつけられるようになり、どのタイミングでどんな
アドバイスしてさしあげるのがもっとも良いのかも、
経験的にだんだんとわかってきました。

私も「心の治療者?! 心理カウンセラー?! セラピスト?!」として 
この一年ちょっとで、だいぶ大きく成長できたようです。

これも受講生の皆様のお蔭です。(^^)  


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●編集後記

例年だと春がうらめしや〜なのですが、今年は楽しいです。

いつもはちょー重症の花粉症が、この3月はかなり軽症でラクー。
まさにこころ弾むスプリング(春)でごじゃります♪ 

理由は……町医者で、去年の秋から処方してもらっている漢方系のお薬
「小青竜湯エキス」が効いた(!)ようです。

もらいに行くたび「ほんとにこれだけで効くのー?」と疑問があって、
調剤薬局の、おだやか〜で、キューピーさんみたいな顔をした薬剤師さん
(♂)に、なだめられながら 続けてよかったデス。

鼻がつまると、それだけで集中力や気力も低下しちゃってゆううつでしたが、
今年は支障なく乗りきれそうです。( ^▽^ )v

では みなさま、今夜も深い心地よい眠りと、よい夢を〜。

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