よい精神分析家は患者に勇気と希望を与える&罪悪感と自己処罰の関係(80号 2005・12・29)

こんばんは〜。(^^) ひらいです。

今回のメルマガは、年末スペシャルということで、
27日から三夜連続で配信しています。

今日は年内最終号です。お時間があったらおつきあいください。

ではさっそく本題に入りましょう。
昨日予告していた、フロイト博士と患者エリザベートの臨床例です。
 

よい精神分析家は患者に勇気と希望を与える

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●足を麻痺させていた深い罪悪感
  ――神経症(<ヒステリー(身体の麻痺)>)の原因は、こころにあった!
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   心に抑圧された想い、
   それは、
   ときに、
   身体症状 (痛み・麻痺) となってあらわれる。

 そう言われたらあなたは、ちょっと信じがたいと思うでしょう。

しかし、人は、心のなかに自分自身が規範として許すことができない
感情を抱え、しかもそれを排除することができない場合、
「そんな気持ちはもっていない!」と否定し、それを意識から追い出してしまいます。
そしてその想い(心の声)を抑圧していることが、身体の症状として現れることがあるのです。

追い出された感情のエネルギーが、今度は身体の症状として表出します。
その典型的な例が、フロイトの患者で、エリザベートという若い女性でした。

 エリザベートは脚が痛くて歩くことができず、松葉杖をついて
フロイトの診療所にやってきました。

彼女は姉の臨終に立ち会っているときに、急に発病し、
そのまま歩けなくなってしまったのです。

たくさんの医者に診てもらっても治ることはありませんでした。

医師たちは、エリザベートの病気は、
 姉を亡くした哀しみとショックによるもので、
悲しみが癒えていけば、病気も治ると診断しました。
 が、
 一年すぎ、もう姉の死を悲しんではいないのに、
 それでもよくならないのです。

 フロイトはエリザベートを催眠状態にして、彼女の姉が死んだときの
 気持ちを 詳しく訊ねてみました。

エリザベートは、姉の死に臨んで、
 以前から片思いしていた義理の兄(姉の夫)と
結婚したいと思ったのです。

――昔は、結婚していた姉が死ぬと、残された夫のもとに、
 死んだ姉の妹を嫁がせる風習がありました――

(今までは姉のものだった理想の夫を、今度は自分が手に入れられる)

エリザベートは、死んだ姉を見下ろしながら、
 そんな考えをもった自分を
 私はなんて恐ろしい女、ひどい、道義的に許せない!
 という気持ちでいっぱいになりました。

エリザベートは、その考えを頭から追い払い、
 以後考えないようにしてきました。

その深い罪悪感が、自分は罰せられるべき!という
 ことになり、足の麻痺と痛みとして現れていたのです。

 そして催眠から醒めてから、自分の考えの恐ろしさにショックを受け、
 自分の罪深さを恥じて、苦悩のためにすすり泣きはじめるのです。 

 姉の死に際に抱いた自分の願望を恥じ、嘆く彼女に向かって、
 フロイトは優しく慰め、それまで逃げていた自分の感情に
 向き合うように勇気づけます。

ここで、フロイトが彼女にかけた言葉がなんとも思慮深い。 

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 フロイトはきいた。「恐くて考えられないような考えがあったんですか。わ
れわれは、だれもかれも、人道的でしょうか。われわれは、みな、ときに誘惑
におちいることがあるのではないでしょうか?」

 少女は手をおろして顔を上げた。彼女の眼には希望がいくらか現れていた。
「先生は私が、とことんまで堕落しているわけでもなく、恐ろしい女で、悲し
いほど弱い人間でもないと、おっしゃるんですか?」

「自分の困難を避けて逃げる人だけが弱い人なのです。」

       『フロイト その思想と生涯 ラッシェル・ベイカー著』より
            http://tinyurl.com/9o2z8
この本の訳者・宮城音弥先生は、先月天国に召されました。合掌。
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フロイトは続けます。エリザベートに向かって、あなたの足が麻痺し、痛むようになっ
たのには、目的があったのだと説明します。

姉の臨終の場で頭に浮かんだ考えを、それ以上そのまま抱いていることに耐えきれず、
病気に逃げこんで、義理の兄と恋仲になる可能性を避けたのだと。

―― なぜ機能の麻痺が他の部分でなく脚にきたのか? 
それは、脚が性的なことに関係しているからかもしれないし、
あるいは、エリザベートが義理の兄に好意をもったきっかけが、
義兄と散歩をしているときだったので、それで、「歩く」機能を
麻痺させてしまったのかもしれません。(by 平井的洞察)―― 

フロイトはさらに、
あなたはその考えを持ったことを許しさえすればよいのです、
やってごらんなさい、と勇気づけます。

エリザベートはじっと目を閉じて座っていましたが、やがて立ち上がり、
歩きはじめます。

       脚は治っていました。

エリザベートは大喜び。
自分の松葉杖をフロイトの診療所にそのまま置いて帰って行きました。

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何ヶ月かの後、彼女がウィーンでひらかれる慈善ダンスパーティーに出る
ということをきいて、フロイトは妻をつれてパーティーをのぞきに行った。

 かつて、松葉杖をついて彼の所にやってきた若い女性が、ハンサムな青年と
腕を組んでウィーナー・ワルツの調べにのって、目の前を通ってゆくのを彼は
見たのだ。この青年を彼女は結婚の相手に選んだのだった。彼女はもはや、彼
女の義理の兄を熱望しなかった。

       『フロイト その思想と生涯 ラッシェル・ベイカー著』より
            http://tinyurl.com/9o2z8
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西洋人らしく、中間のない、右か左か、ハッキリした話しではあります。

当たり前ですが、西洋人のメンタリティと日本人のそれは異なります。
西洋では、すべてを言葉に出す文化ですから、
言葉に依存している部分も、言葉の影響力も、大きいのです。

日本では語尾をゴニョゴニョとごまかしても、言いたいことを相手が察して
くれるので全部言わなくてもいいのですが、西洋ではそうはいきません。 

人と人との距離感も違うし、大気のなかにある『気』も、
まばらな感じがします。。。。これは余談ですけど。。。。(^^)  

西洋人は、いったん納得すると、それをすっかり受け入れて、
心的態度を以前とはガラリと変え、以後は、それまでの過去を振り向きもせず
暮らしはじめるようなところがあります。

自分で認めたくなかった感情を告白し、しかもそれを医師(フロイト)から
批判されず、その感情を赦されたエリザベート。

彼女は、自己中心的な考えをもったことを認めることができなかったために、
病気になり、フロイトの言葉によって、その状態から完全に解放されたのです。  

フロイトは、エリザベートの例や他の患者の例から、
その人が面と向かうのがこわい感情ゆえ、病気になる、
 そう考えるようになりました。

自分のなかにある本音、
 人からは眉をひそめられるような感情を抑圧すると、
押さえつけられ、隠された感情のエネルギーはなくならず、
 むしろ表出しようとする。

感情のエネルギーが変化した形で心身に現れてくるのが、心の病気です。


 フロイトの精神分析でエリザベートの脚の痛みが
劇的に消失していったように、神経症(不安障害・ノイローゼ)の諸症状は、
 心の奥底に『抑圧』されている事件や記憶が原因です。

 それは必ずしも罪の意識とは限りません。
 恨み、憎しみ、怒り、悲しみのこともあります。

 この抑圧されているものをつきとめて、
 感情をうまく処理することができると、
症状の発生源だったエネルギーそのものがゼロになりますから、
症状として存在しえなくなるのです。

 私も自分で工夫した自己分析で、
 不安発作や性格のゆがみの原因を発見すると、
 それきり問題がなくなってしまいました。

正統派の精神分析は最低でも三年かかるということですが、
『プライベート・アイズ』セミナーでコーチしている
私のやり方では、それよりも格段に早いです。 

 私が自分で神経症(不安障害・ノイローゼ)をなんとかするために、
( ヨーガ、瞑想、自律訓練法、森田療法、認知(行動)療法、内観法など、
いずれも効果がなく、精神分析ぐらいしか試せるものは残っていなくて、ダメもとで )
精神分析を勉強しながら実践していたとき、
症状について仮説を立てて、自由連想で潜在意識(無意識)を探ったのですが、
精神分析網で潜在意識の湖をさらって引っかかってきたものが正解の場合、
それは私自身、すぐにわかりました。

なぜなら、症状が直接すぐに消えたからです。
私の場合は神経症(不安障害・ノイローゼ)といってもヒステリー発作だけはなくて
原因不明の被害妄想や、心悸昂進(不安障害・パニック障害・不安発作)や、
その他『血と言葉』のヒロインのような、さまざまな深刻な症状でしたが、
症状の原因を探していって、うまくヒットすると、その場で症状が改善・消失していきました。

うそみたいなまことのはなし。
あたりまえだのくらっかー。(団塊の世代ならわかるテレビ番組です。)

いえ、まじめな話、このエリザベートのようなことが、実際に私の身に起こったのです。

『血と言葉』のヒロインも、同じでした。
私はこの本を参考にしたのですが、『血と言葉』のヒロインは、
ある幻視の症状に悩まされ、自分は気がふれたに違いないと恐れていたのですが、
精神分析医の助けを借りながら原因を直視すると、それ以後幻視はでなくなったのです。

この点で、精神分析は、科学というよりも、化学(ばけがく)や物理現象に近いです。
法則や原理を利用して現象を起こすようなものです。

自分自身で精神分析を行って、最初に原因がわかって症状がなくなったときは、
嬉しいと言うより、その即効性にびっくりしてしまいました。


罪悪感と自己処罰の関係

エリザベートの例を、もう少し違った方向からみてみましょう。

人は、罪悪感をもつと、何かしらの形で自分を罰する、
という原則が、エリザベートにも当てはまっています。

ある種の罪悪感は、無意識に近いところにあるので、
自分でさえ、罪悪感を感じていることに気づかないことがあります。

生きづらさを感じている人は、精神分析で自分の無意識にあるものを
探ってみることをおすすめします。

自分の持っている資産と負債をチェックする。。。。
企業で言うと、決算や棚卸しに相当する、重要事項です。(^^) ★ 

自分の心理状態を、臨床心理士やセラピストやカウンセラーよりも速く、
深く、正確に、自分自身でチェック、改善できる、
そんな夢のようなツールが『プライベート・アイズ』テキストです。

http://hiraiyoko.com/nh.html


さてここで、フロイトがエリザベートに施した治療を確認してみましょう。


精神分析の本質は、心的援助に他ならない(と、私は考えます)

フロイトがエリザベートに対して行なったのは、

 被精神分析者(患者)が、自分自身で、悩みの原因になっている、
 弱さや問題を直視し、それと向き合うよう助けてあげた。 

 患者に、完全無欠・高潔・聖人君子でない自分自身を受入れ、
 許し、(言外に)自由で健康で幸福に生きていいと諭した。

                 ・・・・でした、よね?(^^)  

これって、倫理とか哲学とか宗教とかの範囲も含んで、
人間の本質にまで関わっていると思いませんか?

のちに、かなり難解で複雑になっていった精神分析理論ですが、
フロイトが患者にたいしてもっていた人間心理への共感とか、
人情味とか、優しさや温かさが伝わってくるエピソードです。 


プラアイ受講生さんからの感想メール YKさん・30代半ば男性
  (プライバシーに配慮して抜粋です)(^^ 

ここから
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こんにちは、○○です。
送っていただいたテキストは、週末にかけて、一気に最後まで読み通し、すぐにもう一度
読み返しました。

本を読んでこのように衝撃を受けたのは、学生時代にフロイトの”精神分析入門”を読んで
以来のことで、プラアイで受けた衝撃の大きさはそれをはるかに上回るものでした。

以前読んだ本の中でこれに近い感じを受けたものに、小説ですが、村上春樹の”ねじまき鳥
クロニクル”がありました。
しかし、『プラ・アイ』ほど心の共振を感じるものではありませんでした。

プラアイのテキスト内容にはぐいぐいと引き込まれ、まさに魂を揺さぶられた、と言ったら
よいのでしょうか?
(書いてて気恥ずかしい表現ですが) 

平井さんと一緒に心を掘り下げる”魂巡りツアー”をしているようで、自分自身の
いろいろな感情を呼び起こされるものでした。
読むだけでも癒されるというのは誇大広告ではなかったと、率直に思います。

この『プライベート・アイズ』テキストに出会えて本当に良かったと思います。
多大な時間を費やしてこの素晴らしい仕事をされた平井さんに感謝します。
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ここまで

YKさんは、プラアイテキストを読んでいるとき、思いがけず、過去の記憶が
呼び起こされる体験もしたそうです。

でも、文章から感じる温かさに包まれるような感じのなかで起こったので、
辛い記憶の再生時にありがちな苦痛や恐怖はなかったそうです。

 でも、受講生さんからいただくメールでは、YKさんのような感想は
 めずらしくないんですよ。(*^▽^*ゞ! )

『プライベート・アイズ』はテキストとメールによる特別な講座です。

      http://hiraiyoko.com/nh.html

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平井より YKさんへ 

『ねじまき鳥クロニクル』についての突っこんだ解説をご希望とのことで、
コメントさせていただきます。

この本については、私も印象が強いです。

『プライベート・アイズ』を書くとき、心の傷を効率的に無理なく手当てでき
る印刷物って、どんなのが、どれだけ出ているのかチェックしてみたなかで、
この小説は飛び抜けていました。 

狭く暗い意識の井戸の底からはじまる壮大な冒険物語……設定が精神分析的で、
小説を読まない私も惹きつけられ、何かミラクル(奇跡)があるかも、と期待
しました。

出てくる場面が、細工をこらした豪華絢爛な建造物のようで、さすがに文体が
贅沢だなぁと感心しましたが、すぐに先を読む気がなくなってしまいました。

物語が、どこまでいっても収束していかずに、ねじれたまま進行していく。。。
謎を解いて答えを出すことにはさほど重点が置かれていないようでした。

私は明解な答えが出る本、小説よりもエッセイやノンフィクションのほうが
好きなのです。割りきれるものが。^^; 

心理学をきわめて行ってたどり着いた精神分析も、一見文学的なようでいて、
その変化や経過は、化学反応そのものでした。数学の公式に近かった。

『ねじまき鳥クロニクル』は、残酷なまでに美しい、金属のような光沢をもつ、
クリンクリンと規則的にねじれたリボンで、その鋼管のような螺旋(らせん)
の内部にみごとに構築された世界を読者が堪能する……そんな感じがしました。

とても魅力的な部分もありましたが、私が目指しているものとは平行線でした。
なぜって、読む人が心を悩ましたり病んでいるわけじゃないですしね、小説だ
から別に真実でなくてかまわないし……。

……というわけで、この本はけっきょく、ほとんど読んでないのです。
突っこんだ解説でなくて、すみません。((^^ゞ

あと、YKさんが学生時代衝撃を受けたというフロイトの『精神分析入門』も、
読む者の理解を拒む?!点では『ねじまき〜』と、共通していますね。

私が自分をなんとかするために精神分析を勉強したときも、
ずっと後になって『プライベート・アイズ』を書いたときも
『精神分析入門』からは、読むつど、理論的にも、語り口も、
他では得られない独特の、たくさんの収穫があったのですが、
それでも、"イド"と"エス"の理論などは、ねじまき鳥クロニクルみたいに、
着地点が最後まで定まらないままで走っているような感じでした。

フロイトの研究家のなかには、「フロイトはすごく難しい。
だからこそ興味が尽きない、面白い」という方もいらっしゃいますが、
私は花より団子です。テヘヘ。(^^ゞ 

フロイトの理論と技術から、現代人にも役立つエキスだけを、
自分のために抽出して加工して編集しました。それがプラアイです。

『プライベート・アイズ』テキストに興味のある方はこちらから

     http://hiraiyoko.com/nh.html

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●次回予告
……………………………………………………………………………………………

次回・来年の第1号は、
自助グループのよい点と、意外な落とし穴についてです。

私は自助グループで救われた、逆に嫌な想いをした、など、
自助グループにまつわる情報をお寄せいただけると幸いです。 

掲載されても個人が特定できないよう、少し内容を変えて下さいね。

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書かれている情報のご利用は、ご自身の管理と責任下で行って下さいませ。

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以上、前もってご承知おきくださいませ。 

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発行者 グリーニング・ランド 平井 瑛子(ひらい・ようこ)
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最後まで読んでくださってありがとうございましたッ♪ 

では来年、またここでお会いしましょう。!(*^-')/~☆Bye-Bye♪


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