無意識(潜在意識)の領域にいる、もうひとりの<自分>を探す精神分析(8号 2003-08-08)

精神分析が探る無意識(潜在意識)の領域とは

精神分析とは何かというと、言葉やしぐさ、反応、行動などから、 その人の無意識に潜んでいる心の働きを探究していくものです。

言い間違い、勘違いなども、無意識にある願望が影響していると考えられます。

たとえばこんな例。
ある会議で司会者役になっていた人がいます。
その人は内心、その会議に参加したくなかったんですね。

気が乗らないまま会議の司会を引き受けた彼は、会議をはじめるにあたって、 「これから開会します」と言うべきところを、間違って「閉会します」と 言ってしまった。

この会議が早く終わってくれればいいという願望が、うっかりミスとして 現われた、というわけです。

その司会者は、自分ではもちろん、そんなことを言うつもりはなかったのに、 自分が感じていたけど現せなかった嫌な気持ちを、このような形で露呈してしまったのです。

このような例はたくさんあります。フロイトは、人間の心理のなかに、なにか、 その人の意志とは別の存在があると考え、これを潜在意識と名付けました。

意識できないから『無意識』と呼ぶくらいなのですが、目に見えず、なかなか感じることもできない無意識(潜在意識)は、 じつは大きな存在で、その人の考えや行動に強い影響を及ぼしています。

無意識(潜在意識)からの影響は、よい影響もありますし、そうでないものもあります。
神経症(不安障害・ノイローゼ)になるような方の場合は、潜在意識から悪い影響を受けて足を引っ張られている状態です。
精神分析は、その潜在意識を探求する仕事です。

自分が知らなかった自分を発見することは、まさにより深い意味での『自分探し』です。

精神分析を続けていくと、すっかり忘れていた自分のトラウマ体験を思い出したり、今の自分と過去の出来事がどうリンクしているのかがわかってきます。

私が主宰する『プライベート・アイズ』セミナーは誰でも使えるように改良した簡便な精神分析法です。

多くの受講生さんは、普通の心理療法では考えられないような速さで、この作業をこなしてしまいます。私は『プライベート・アイズ』を発表したとき、最初に何かしらの手応えや目立った効果が出はじめるまでは、実行してから最低でも数ヶ月はかかると予想していました。

でも、実際にフタを開けてみたら(冊子版をリリースしてみたら)、私の予想よりもはるかに短い期間……たとえば読んですぐに心のなかの変化を感じた方とか、実際に精神分析を 開始してからたったの一週間で被害妄想が消えるとか、ものすごい速さで癒しの変化が次々と起こったという報告をいただき、私のほうがビックリしています。(^^)!


子供時代の過去のトラウマが大人の現在を苦しめる


精神分析でどこまで記憶をさかのぼれるか、私の知っているかぎりでは、胎児の時代です。
ある本に載っていたのですが、原因不明の恐怖と痛みの発作に悩む男性が、その症状の原因として 精神分析で思い出したのは胎児のときの記憶でした。

母親のおなかにはいっていたとき、出産を希望していなかった母親が流産をおこそうとして、バスタブに熱い湯をはり、そこにおなかをつけたのでした。非常に熱く苦しい記憶でした。

母親が自分を殺そうとしたのは男性にとって大きな精神的打撃でしたが、その半面、 胎児だった自分が感じた耐えがたい苦痛を思い出して、発作は消えてしまいました。

こうしてみると、男性の原因不明の症状の影に、トラウマ体験があったのです。 トラウマは、発見されるまで恐怖と痛みの発作として現れていたのです。

精神分析を日本人に合せたものに修正して成功する

精神分析は外国産、西洋が発祥です。

私が精神分析をするときに参考にした心理学の文献はみな翻訳されたものばかりでした。精神分析のことが書いてある記録は、 フランス人の手による『血と言葉』だけでした。フロイトが書いた『精神分析入門 上・下』は理論中心でした。具体的にどうやるかは、 精神分析家から教育分析という形でトレーニングを受け続けない限り、教えてもらうことはできない。

『血と言葉』は、小説の形をとった手記なので、精神分析治療を自分に当てはめてみようとしても無理でした。著者のマリ・カリディナルは同書のなかでこう言っています。

「精神分析そのものは、文章にすることはできない。無、空虚、漠然、停滞、死、本質、単純、といったようなことを際限なく表現しようとすると、繰り返し何千ぺージも要する。(『血と言葉』277ぺージ)」

なんとかして自分で精神分析を行おうとして試みようとしても、実際にどんなふうに行うのかは書物からだけではわからないので、しかたなく、 本の文章の端々や、行間にほんの少しだけ、かいま見える(ような気がする)断片を手がかりに、自分なりに新しい精神分析理論を構築していくしかありませんでした。そののち、2ヶ月で神経症(不安障害・ノイローゼ)を退けることができたのですから、私の精神分析は大成功だったといえるでしょう。

この経験を他の方にも役立てられるようにつくって、知識と手順を公開しているのが、『プライベート・アイズ』セミナーです。

精神分析する側と、精神分析される側と、それをスーパーバイズ(指導監督)する立場の三つの視点から描いて説明しているので、心理学や精神分析のことを何も知らない人でも、すぐに試せるのが特長です。

日本人に最適な、自分でできる精神分析理論と技法についての完全なマニュアルです。


ところで、心理学や心理療法の本は今でも興味が尽きません。たとえ外国の話でも、人間の心理は洋の東西を問わず、共通している部分が多くあり、とても参考になります。

ただ、文化の違いも無視できません。外国と日本では、対人関係の距離感も違うし、治療者が患者さんに働きかけるときの微妙なニュアンスや言い回し、表現などは、とくに心理療法(精神療法)の場面では言葉や態度を直接の治療の道具にしているわけですから、外国語をそのまま翻訳して 日本人に適用しようとしても、最大限の効果は期待できないはずです。

そこで、心理学や心理療法関連の書籍を読むときは、必ず、文化の差異を計算に入れ、逆算して読み替えるようにしています。

かつて精神分析を試みたときも、日本人の自分によく合せた形になるように、フロイトの精神分析理論を適度に取捨選択し、構築し直して、それを使って自己分析を重ねていきました。その過程も、他の方にすぐに存分に利用していただけるよう、『プライベート・アイズ』セミナーで細かく具体的にリポートしています。

ちなみに、私が精神分析をしていって、最終的に蘇った記憶は、生後約数週間ぐらいだったときのものです。
漠然とした不安、それが私の神経症(不安障害・ノイローゼ)の一番強い症状だったわけですが、 この原因不明の言い知れない不安と恐怖の源(みなもと)は、生まれてまだホヤホヤの、 新生児期の強烈な体験が原因になっていました。

精神分析を独学して、発案して、実行して、とうとうこんなところまで思いだして、自分でも半信半疑でした。でも、どうやら真実だったようです。(裏付けもとれました)

何より、それを思い出したら神経症(不安障害・ノイローゼ)の不安も恐怖もすっかりなくなって、自由になりました。

※いつの時代の何がトラウマになっているかは、その方によって違います。また、トラウマは、ただ思い出せばよいというわけではありません。 そこには絶対にはずせない重要事項があるのです。メルマガのバックナンバー一覧で、アリス・ミラー博士について書いたところを参照してください。


抑圧のしくみ(トラウマは形を変えて表出する)

人間、誰でも、嫌なことは早く忘れてしまいたいものです。

それは自然なことですし、私たちはそうやって生きていくのですが、  子供の頃に体験した、辛い体験は、そばにいる大人が察してあげて、「こわかったね〜」「びっくりしたね〜」と声をかけて 感情を共有してあげないと子供は自分だけではその苦しさをうまく消化できないのです。

そういう優しい大人がそばにいなかった子供はどうなるかというと、 その強い恐怖や、怒りや悲しみを、ただ無理矢理抱え込んで 自分の心のなかに押し込めてしまうしかありません。

子供は生命力が強いので、なんでもけろりとすぐに忘れて元気になる、と思われているかもしれませんが、 そのときに思いきり泣けなかったとか、怒ることができなかったとか、強い感情は(精神分析では情動といいます) 全然枯れも減りもしません。

それどころか、大人になってから、子供の頃とは別の形、なかなかそうとは原因がわからない、変形した表現方法、 おかしな症状や発作として表現されてきます。

本人はすっかり忘れているはずなのに、大人になってから、別の形、つまり神経症(不安障害・ノイローゼ)のいろんな症状として 現われて悩まされる原因になるのです。


神経症(不安障害・ノイローゼ)の恐怖や不安の正体

神経症(不安障害・ノイローゼ)に悩まされたことのある方なら、なんだか得体(えたい)の知れない、 何かが自分の心のなかにあると感じたことがあるでしょう。
沸騰した鍋の蓋がガタガタ鳴るような、表面に現われようと 内面からつきあげるように動いている何かを。

正体がわからないというのは恐怖ですよね。
それを出したくない、危険だ、という感じもあるでしょう。
精神的に追い詰められて逼迫して焦るし、心臓も高鳴ります。
ああもうだめだ、とパニックにもなる。

これは、ふさわしいタイミングと適切な方法で発見されて、きちんとケアされれば、発散されて消えてしまう感情が 形を変えて暴れている状態です。

トラウマを発見し、ふさわしい処置をして、心を癒していくのは、私の例でもおわかりのように、 たとえ専門家がいなくてもできることなのです。

日本には精神分析医はとても少ないですし、 精神分析を受けるには、治療費は年間二百万円ぐらいかかります。
でも自分でやるのなら時間は無制限で、お金だってかからないのです。

心の病に悩む人は、自分自身にとってよき理解者になってあげてくださいね。
大人になってからでも、過去に置いてきた心を育てることはできますから。



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