アリス・ミラーと心理療法&神経症(不安障害・ノイローゼ)を克服できた理由(66号 2005.6.4.)

アリス・ミラーと心理療法の本質

今週、アリス・ミラーの本をまとめて読む機会があり、
そこでいろいろと気づきがありました。

アリス・ミラー博士の本を年代順に並べてみたとき、
博士の個人的な事情ほかいろんなものが浮かびあがってきたのです。 

予定を変更して、しばらく、 
こちらを中心にした内容にしたいと思います。

平井がアリス・ミラー氏の本を最初に読んだのは、1988年です。 
ここから今日まで17年の歳月が流れました。

そして、アリス・ミラー氏個人の迷いや主張の変遷から、
心理療法というものについて、私なりにひとつの結論を得ることができて、
とてもほっとしています。なぜなら、ずっと知りたいと願っていたことだったからです。
今日はそのことを書こうと思います。
  

神経症(不安障害・ノイローゼ)克服体験者が伝えたかったこと

平井は、1988年に、自分で考案した精神分析(自己分析)療法で、
隠されていた真実を掴み、不安神経症(不安障害・ノイローゼ)を解消しました。

翌年には、この方法を他の人の役に立ててもらおうと考えたのですが、
他の人にわかるように伝えるためには、
三つの大きな壁がありました。 

■ 常識として信じられていることと、私の得た知見が対立する。
■ 伝える情報媒体がない。(インター・ネットがない時代でした)
■ 聞いてくれる他者がいたとして、自分のもっている専門知識や技術を
  その人にどういう形でなら、正確に無理なく伝授できるのか未知数。

常識についてですが、当時ゆるぎない「事実」と認識されていたのが、 

●子どもを愛さない親は世界中どこを探してもいない。
 どの親も立派で愛情深い。

●母性は本能である。
 女性は子どもを身ごもったり育てると自動的に愛情がわくものだ。

●精神の病気は遺伝か欠陥で、かかったら一生治らない。
 治癒や完治はない。あるのは寛解のみ。家系が最も大きな要因だ。

●医者は専門知識をもった、優秀なエリートである。
 患者は馬鹿だから、医者のやることに何の疑問ももたず、
 口をはさまず、違うと思っても黙って従っていればいい。
(↑言葉にこそ出されませんでしたが、
  ほぼこのような感じで治療は行われていました。
  威張っていてすぐに怒り出す先生も多かったです。。。)

以上の考えが、広くあたりまえだとして信じられている常識、社会通念でした。

常識というものは、真実であるとはかぎりません。
圧倒的大多数の人がそうだと信じていること、
または(見たこともないのに、確かめたわけでもないのに)、
そうだと信じていることが、常識というものです。 

でも、いちいち自分で全部確認していたら何もできませんので、
私たちは、ふだん、スキーマというか、便宜上?、
これはこうだという前提をもって生活しているわけです。
 

私が神経症(不安障害・ノイローゼ)を克服できた理由

しかし、ここが重要なポイントですが、
私が短い期間で不安神経症(不安障害・ノイローゼ)を克服できたのは、
カール・メニンガーや、カレン・ホルネイなど西洋の心理学者の本などから、
儒教の影響が強い日本人に信じられている、一見もっともらしい、
「親の意見に間違いはない・親は何があっても否定してはならないもの」
という当時はとても強力だったタブーにたいして、
「本当にそうなのだろうか?」と、検討の余地を自分に与えることができたからです。
それが、物事を客観的に中立的な立場から見て、
冷静な自己分析を進めていくための前提になったのです。

でも、これらをどうやって、私以外のほとんどの人
……事情をまだわからない人にわかるように説明できるのか、

そもそも官界(大学教授など)にも、産業界(企業の経営者など)にも
身を置いていない、一民間人の私の言葉に、いったいどうやって
耳を傾けてもらえるのか、手だてはありませんでした。 

手段もさることながら、他の人によくわかるように説明するためには、
もっと、私自身、自分が達成できたことについて、
ベテランの精神療法(心理療法)の専門家以上に
精神療法(心理療法)について、正確な理解を深め、
精神療法(心理療法)の専門的技能を極める必要がありました。
 

私がこのとき目指していたことが、
不可能に近いことだったのか、皆さんは想像できるでしょうか?
 

他人、それも心理学についてはまったくの素人にたいして、
精神療法(心理療法)の理論と技術を教え、
最初から最後まで、その人が自分で自分に精神療法(心理療法)を行い、
心の回復という課題に向かって取り組んでもらい、成功させることは、
精神療法(心理療法)家であることよりも、ある意味では、何倍も難しいことです。

 ※ 優秀で人格も素晴しい精神療法(心理療法)家の方々のことは尊敬申し上げております。
  私はただ、日常生活を送るなかで神経症(不安障害・ノイローゼ)を克服した者として、
  自分にふさわしいことをやろうとしていただけです。

私がそのとき自分に課した命題、
「自分を自分で癒すための精神療法(心理療法)を人様に教える」を果たすためには、
さらに多くのことを深くしかも広く知り、さまざまなことに精通している必要がありました。

プロの精神療法(心理療法)の専門家ならば、
その熟練した手腕を相談者に対して発揮すればすむことです。

でも、私が目指したのは、
私が人様に直接精神療法(心理療法)を施すことではない。

精神療法(心理療法)の理論と技術をうまく利用すれば、
比較的短期間で精神の健康を取り戻せるということを、
まだ知らないで、不安でたまらず、それも我慢しているような人、
心が疲れて悩んで困っている一般の人に、
安全で完全な精神療法(心理療法)のひとつとして、
自分で自分の状態を把握して、
手当てして癒して元気を回復していける、こういう方法もあるんだよと
自分でできるように丁寧に教えてあげることでした。

もちろん、人に教えるためには、自分はその何倍も、理解していなければできないことです。

「神経症(不安障害・ノイローゼ)が自分で治せる」だなんて、
まだ誰も知らない、見たこともない、体験したこともない、
だから想像もつかないことを、いったいどうやって伝えたらよいのか、
どんな方法がもっとも効果的なのか、長い間模索が続きました。

「神経症(不安障害・ノイローゼ)は遺伝で、一生治らない!」
と精神科の医者に完全に見放されていた1988年当時から、
自分がなんとかして他の人に伝えたかったのは、
神経症(不安障害・ノイローゼ)の人に限らず、
自分自身で真実を見つけて、自己を根底から育てなおし、
治癒・成長させていくことが、大人になった今はできるのだ、
ということです。 

そこで、逆に、
そもそも専門家による治療、精神療法(心理療法)とはどんなものか、
確認してみる必要がありました。

高いお金を支払い、時間的にも制約を受け、
精神療法(心理療法)家にたいして、
悩み(日本人ふうに言えば『恥』)を打ち明ける勇気が必要で、
ひょっとして傷つくかもしれないのを覚悟しなければならない、
そこをくぐり抜けなければ治らないという、
精神療法(心理療法)や精神分析とは、いったいどんなものなのか?
治療家に打ち明けなければ、治癒は起こらないとすれば、
その苦痛を軽減したりやわらげたりする方法はないのか?
どうしても秘密を打ち明けなければ治らないのか?
もし私があらかじめ似たような経験を語ったとしたら、
相談者はそのリスクと苦痛から解放され、
まっすぐに回復していけるのではないか?

   

     それから16年後、
    満を持して(?!)リリースした『プライベート・アイズ』では、
    上のような疑問と仮説から、
    相談者のプライバシー保護と心の回復への速度をあげることを優先させ、
    他では類をみない形で展開しています。
    つまり、講師の私が自分自身の経験を例にあげて、トラウマと心のしくみについて解明し、
    受講生の方が、トラウマや辛い体験を私に知られることなく、
    心が回復に向かう道のりにスムーズに移動して、明るい気持ちになれるよう配慮しています。


人に教えるための勉強をはじめた1989年の私は、
西洋では権威ある存在であり、地位も名声もある心理療法の専門家と
その治療の実態とはどんなものか? 
それを知りたいと思いました。 

こうしたいきさつで、アリス・ミラーの本は、
神経症(不安障害・ノイローゼ)を克服した後に、読みはじめたのです。

私が自分で神経症(不安障害・ノイローゼ)をなんとかしたいと苦心していたとき、
フロイトの『精神分析入門』とマリ・カリディナルの『血と言葉』を中心に、
心理学その他の膨大な文献を読み漁り、
ほんのわずかなヒントをかき集め、
不安で疑心暗鬼でいつも行き止まりにいるような焦りを感じながらも、
精神分析以外後がないというせっぱつまった背水の陣で、
考案と仮説・検証と、試行錯誤を繰り返していました。

その結果、2ヶ月で症状が消えるほどめざましい効果を上げた心理療法、
とくに精神分析について、
いずれ他人に教授する前に、共通点や差異などを細密に確認して、
よりよいものに完成させたい!という、
明確な目的意識をもって読みはじめたのです。

  ※1988年の暮れ。まだ世間に発表する予定もなかったのに、です。
     今思うとよくやったと思います。(^^) 


自分のやり方と、
プロで名前もあるアリス・ミラー博士の精神分析とを比較してみて、
どうやったら私の深い体験を、心の闇(病)に苦しんでいる赤の他人に
わかりやすく勇気づけるように伝えることができるのか、
闇から出て明るい私の居場所まで、心のかけ橋をかけるために、
必要なものは何か?
私がするべきことは何か?
私の目標を達成するために足りない点があるとしたらそれは何か?

などの情報を汲み取ろうと意識して読みました。
なぜアリス・ミラーか?というと、
当時日本人の心理療法家が書いた本はほとんどありませんでしたから。

最初に手に取ったのは、『才能ある子のドラマ』でした。 
これはアリス・ミラーがドイツで初めて出版したものです。 

だいぶ長くなってしまったので、今回はここまでにします。(^^)  

次回に続きます。


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●編集後記
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前回のメルマガ発行後、読者がガクンと減りました。
タイトルがあやしすぎたかな?(;^_^A 
内容が気に入られなかったならしょうがないですが。。。_| ̄|○

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