精神分析とカタルシス
水は物質に浸透して柔らかくし、汚れを浮かせて、落としやすくさせ、また流し去ってもくれますね。 別に自分の古傷を自慢するつもりではないのですが、私は昔は心の病気、かなり手広く扱って(^^;?ました。 自律神経失調症、手の痺れ、皮膚感覚の麻痺、食欲不振、心悸行進、不安発作、うつ病、強迫神経症、不安神経症、 離人症、妄想、幻覚、などなど。
自分は神経症(不安障害・ノイローゼ)という病気で、精神分析という治療をすれば治る可能性があると知ったのは、『血と言葉』という本ででした。 『血と言葉』は、著者自身の事実をもとに再現・構成された小説です。著者のマリ・カリディナルは、自殺か精神病院かという選択に迫られ、気休めのつもりで精神分析医のところを訪れます。精神分析治療をするかどうかの面接で、精神分析医は、治療費と面接やその他の注意事項について説明し、「精神分析はあなたの全生活を乱すかもしれない」とも言います。 ヒロインは、離婚することになるかもしれないと考えますが、治療を受けることを決心し、以後7年間、生活を圧迫するほど高額な精神分析の治療を受け続け、真摯に自分と向き合い、自分の無意識(潜在意識)を探索し続け、病から回復するために努力し続けます。毎週3回通いつめ、精神分析医に支払い続け、みごとに神経症(不安障害・ノイローゼ)を完治させました。それだけでなく、作家としての才能が開花させ、家庭生活も円満になります。
この本を読んだ私は、できればすぐにでも精神分析治療を受けてみたくなりました。しかし、特別な治療法であり、どこにいい先生がいるかもも知りませんでしたし、経済的な面だけでなく、7年間も精神分析に通うことは実現不可能でした。 こうして、自分が自分自身の最も優秀な精神分析家になるつもりで、まったくの手さぐりではじまった不安神経症(不安障害・ノイローゼ)との闘いは、結果的には私の圧勝でした。開始から2ヶ月後には、神経症(不安障害・ノイローゼ)の症状はほとんどきれいに消失し、日常生活にはなんの支障も問題もなくなっていたのです。 いったい、私に何が起こったのか。精神分析でいうカタルシス、でした。 自己分析(精神分析を自分で行うこと)をして、自分の遠い過去、子供時代に何があったのかを知り、それが今の自分にどう影を落としているのかを確認し、たくさん泣いて、手放し、心が洗われたためです。 それが、神経症(不安障害・ノイローゼ)が、他人が聞いたら驚くようなスピードで癒されていく過程そのものでした。
主人公に感情移入して泣くことで、心のなかにたまったしこりがはがれて浮き上がり、外に出されてスッキリするのです。 スンスン鼻水すすって、ティッシュでちーんとかみながらも、泣いたあとって、雨上がりのように、胸のなかが清められたような感じではありませんか?
アリストテレスはこれを悲劇の効用と呼んだそうです。 |