『血と言葉』と私の精神分析・カタルシスとは(4号 2003-07-11)

精神分析とカタルシス

水は物質に浸透して柔らかくし、汚れを浮かせて、落としやすくさせ、また流し去ってもくれますね。
涙もそうなんですよ。涙は心を浄化してくれるものなんです。
今夜は、本題の自己分析について私の経験をからめてお話しましょう。


別に自分の古傷を自慢するつもりではないのですが、私は昔は心の病気、かなり手広く扱って(^^;?ました。

自律神経失調症、手の痺れ、皮膚感覚の麻痺、食欲不振、心悸行進、不安発作、うつ病、強迫神経症、不安神経症、 離人症、妄想、幻覚、などなど。


自分は神経症(不安障害・ノイローゼ)という病気で、精神分析という治療をすれば治る可能性があると知ったのは、『血と言葉』という本ででした。
『血と言葉』のページを開くと、そこにあったのは私と似た恐怖におののく一女性の姿でした。自分自身への絶望感、幻覚や被害妄想、猛々しい狂気への恐怖、実の母親との葛藤などの生々しい描写は、日本とフランスという文化の差異を超えて、私の神経症(不安障害・ノイローゼ)の症状や、家庭環境と酷似しているのに驚嘆したものです。
人間心理は、文化や国境、人種には関係なく、深いところでは同じものが流れているのではないかという感触をもちました。

『血と言葉』は、著者自身の事実をもとに再現・構成された小説です。著者のマリ・カリディナルは、自殺か精神病院かという選択に迫られ、気休めのつもりで精神分析医のところを訪れます。精神分析治療をするかどうかの面接で、精神分析医は、治療費と面接やその他の注意事項について説明し、「精神分析はあなたの全生活を乱すかもしれない」とも言います。

ヒロインは、離婚することになるかもしれないと考えますが、治療を受けることを決心し、以後7年間、生活を圧迫するほど高額な精神分析の治療を受け続け、真摯に自分と向き合い、自分の無意識(潜在意識)を探索し続け、病から回復するために努力し続けます。毎週3回通いつめ、精神分析医に支払い続け、みごとに神経症(不安障害・ノイローゼ)を完治させました。それだけでなく、作家としての才能が開花させ、家庭生活も円満になります。

この本を読んだ私は、できればすぐにでも精神分析治療を受けてみたくなりました。しかし、特別な治療法であり、どこにいい先生がいるかもも知りませんでしたし、経済的な面だけでなく、7年間も精神分析に通うことは実現不可能でした。
かといって、日ごとに不安神経症は悪化し、症状も激しくなる一方でしたから、手をこまねいているわけにもいかず、自己治療を決心しました。「私は、精神分析というものを自分で自分に施して神経症(不安障害・ノイローゼ)を治す! できなくても必ずなんとかする!」と、固く念じ、 ひたすら努力しました。

こうして、自分が自分自身の最も優秀な精神分析家になるつもりで、まったくの手さぐりではじまった不安神経症(不安障害・ノイローゼ)との闘いは、結果的には私の圧勝でした。開始から2ヶ月後には、神経症(不安障害・ノイローゼ)の症状はほとんどきれいに消失し、日常生活にはなんの支障も問題もなくなっていたのです。

いったい、私に何が起こったのか。精神分析でいうカタルシス、でした。

自己分析(精神分析を自分で行うこと)をして、自分の遠い過去、子供時代に何があったのかを知り、それが今の自分にどう影を落としているのかを確認し、たくさん泣いて、手放し、心が洗われたためです。

それが、神経症(不安障害・ノイローゼ)が、他人が聞いたら驚くようなスピードで癒されていく過程そのものでした。


カタルシスとは、浄化および排泄を意味する言葉です。
悲しいドラマをTVや映画で見たり、本で読んだりして涙を流す、これもカタルシスです。

主人公に感情移入して泣くことで、心のなかにたまったしこりがはがれて浮き上がり、外に出されてスッキリするのです。

スンスン鼻水すすって、ティッシュでちーんとかみながらも、泣いたあとって、雨上がりのように、胸のなかが清められたような感じではありませんか?

アリストテレスはこれを悲劇の効用と呼んだそうです。
2千数百年も昔の人も、私たち現代人も、感情面ではほとんど変わらないと思うと、人間って興味深い生き物ですね。



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