No.115 サバイバーズ・ギルト  (110409)

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  本当の自分がわかる心の技術 安らぎと治癒の自己改革
     第115号 2011・4・9 発行  
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平井です。

発行間隔が開いて休刊になってしまってましたが、復刊させました。
今後ともよろしくお願いいたします。(^^)   


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●東日本大震災で思うこと 
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先月11日に起きた東日本の大地震と津波に被災された方々へ、
心よりお見舞い申し上げます。

また、全国からここ仙台市にも寄せられているご支援に深く感謝し、
皆様のご健康とご多幸を、救助と復興に協力下さっている皆々様方の
作業中の安全を強く祈念いたします。<(_ _)> 

地震の影響はまだ色濃く、また、おととい7日夜に強烈な(-o-;)
余震があり、震災前の生活に戻るにはさらに延びそうですが、
皆さんはいかがお過ごしでしたか?

今回よく言われる、「前例のない」「未曽有の」「千年に一度の」
地震と津波が引き起こした惨劇にくわえ、現在も進行中の
東京電力福島第一原発事故の緊迫した情報に、深く傷ついていませんか? 

(じつは千年もさかのぼらず、明治や昭和に教訓となる大津波が
あったのですが、もう起こらないと根拠なく安心していたのかも……)

3月11日以降、大津波の衝撃的な映像が頭から離れなくなっていたり、
食欲不振になったりよく眠れなかったり、無気力になったり、
怒りっぽくなったり、安全で不自由ない暮らしを送るのは申し訳ないと、
罪悪感にさいなまれたり、生活のリズムを崩してはいませんか? 


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●それはPTSDあるいはサバイバーズ・ギルト
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国民の大多数が、震災の犠牲者のために喪に服しているかのような、
イベントの自粛ムードは、このような「惨事の目撃者」の心理が強く
影響しているのでしょう。

たくさんの方が、無数の死者・行方不明者に深い哀悼の意を表し、
生き残った人々に寄り添ってくれる気持の表現と受取っています。

でも、そろそろ、被災地以外の方も、視線を上にあげて活気を
取り戻して平常通り、普通に楽しんで欲しいなと思います。

きのう8日、宮城県の村井知事が、菅首相との会談で「被災地域が
元気になるには、日本全体が元気にならなければならない。過度な
自粛はやめ、消費が活発になるよう、音頭をとっていただきたい」
と求めました。
http://www.asahi.com/politics/update/0408/TKY201104080217.html

震災から約1ヶ月のタイミングで、直接の犠牲者の数が多い宮城県の
知事が言ってくれて良かった。

これで、強く制限をかける自粛ムードから解放されやすくなるはず。
 ・・・ (^^) 


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●桜
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被害を受けていない方々は、もうそろそろ、元気にやって下さって
かまわない時期です。

個人的には、マナーの悪い住民の多い地域に咲く桜の樹木には
受難の時期と思っていますが、

被災してない人たちにも、それぞれの生活があり、仕事があり、
家族がいてご苦労があるわけで、人生の時間を否定してほしくないなと。

4月3日の日曜日にラジオを聴いていたら、こういう声がありました。

「被災地のニュースに落ち込み、そんな自分に腹が立ち、被災地に毛布と
義捐金を送りました。少しスッキリしましたが、今度はスッキリした自分に
ただの自己満足か!と、ますます自分が嫌になった」と。

その番組のパーソナリティー、ドリカムの中村正人さんが、
「よく言ってくれた。そう感じながらも何かをすることが大事だ」と
答えていましたが、被災地の立場から申し上げると、そこまで
自分を責めるのはよくないですよ、と言いたい。

日本人のなかでも、とくに若い人たちの傾向として、つねに過度に
自己にたいして良心的であることを求めるように見受けられます。

ほんらい個人の責任でないことにまで、連帯責任を引き受けるよう
強制する他罰傾向と、またそれを甘受する、自罰傾向があります。

私はこれを美徳というよりは、病的とみます。
百歩譲っても健全ではありません。

これはもう、PTSD。
または、サバイバーズ・ギルト(Survivor's guilt)。

私たちはマスコミやネットを通じて間接的とはいえ、
なんのフィルターもないまま、悲惨な映像や、
生還した人の生々しい証言に接しました。

他者の痛みを我が痛みとできる能力のある人ほど、
犠牲者に接したときにできる「二次受傷」にもなりやすい。

つまり、被災していない人のなかにも、ショックが広がり、
精神的な手当てが必要になった人もいる、ということです。

寄付をしても気が晴れないという方に言いたいのは、
まずは、ご自身でご自分の行動を評価してくださいということ。
被災地の人たちは感謝しています。

無力感にさいなまれるのはあなたが優しい証拠です。
困った人を助けようとする誠実な心のなせるわざです。

地震も津波も天災です。あなたのせいじゃないです。
誰も悪くない。
人類は、地球の無尽蔵のエネルギーには太刀打ちできないのです。

ふだんはそのことに気がつかずに生活していたのです。

※ なお、被災地で必要なものはタイミングによって変わります。
送るときには、自治体に確認してからにされたほうがいいです。
毛布は仙台市でもたくさん届いてだいぶ前に受付を止めましたし、
避難所によっては余って場所をふさいでしまっているとのこと。


できる形で被災地を応援してくださったら、
あとは、生活をこれまで通り楽しんでいいのです。

各地で楽しむイベントは、マスコミが報道を自粛すればすむこと。
市民生活まで制限されることではない。

被災者を傷つけるのは、もっと別なことです。

たとえば、被災地宮城ではこんな現象がありました。

仙台市の多くのところでガソリンの流通が回復し、
被害が甚大だった沿岸部でも、被災地まで直接、
車で乗り入れられるだけの道が整いました。

といってももちろん、地域の人や自衛隊などが、
がれきをよけて作ってくれたもので、現地はまだ捜索作業中・・・。

そこに、その町の住人でない人が、よそから車で「見物」に来る。

カーステレオの音量をバンバン大にして飛ばしていく。
路肩に車を停め、降りてきて大はしゃぎで被害を指差し笑い合う。
周辺を眺め面白そうに写真におさめる。
発見された遺体を写そうとする。
被災現場にゴミを捨てていく。

私も、仙台の沿岸部は子供時代海水浴に行ったなじみの場所が多く、
どうなっているのか気がかりですが、それこそ、
「こんな時に行くのは」自粛すべきと心得ています。

現地に家があった人たち、足場が悪いがれきのなかを捜索している
警察・消防・自衛隊の人たちの迷惑を考えると・・・。


ところで、西日本では今、桜が見頃なのですね?!(^^)  

どうぞ、アンテナショップというのですか、宮城・岩手・福島のお酒や、
特産品を買って、お花見を開いて下さい。
気が引けるなら乾杯じゃなくて献杯でもいいですしね。

楽しむ時には楽しんで下さい。

でも、宮城・岩手、そして原発事故に苦しむ福島を完全には忘れないで、
何ヶ月、何年単位で応援して下さい。

被害が阪神淡路大震災とはスケールが桁違いですし、日本の経済状況も
低調な時期、復興までの道のりは長いです。

だから、被災してない日本の各地は、先に元気を取り戻して下さい。

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●編集後記
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サバイバーズ・ギルトは私自身が、被災地にいる分なおさら強く
感じていました。

先日は入浴施設に行き、積もり積もった疲れを癒すことができました。

温かく豊富なお湯に浸かってみて初めて、直接被害を受けていないのに
自分自身、どれだけ傷ついていたかを実感。

全身と心に、無数のガラスが棘(トゲ)になり突き刺さっていました。
それらの破片が温泉のなかで自然と小さくなり抜けて溶けていきました。

この商業施設では自販機のコーラも売店のソフトクリームも品切れで、
でも、付近は電気も水道も使えます。食糧も燃料も行列が短くなり、
場所によっては並ばずに買える。

ミネラルウォーターも売り切れ続出ですが、いまだ不便な生活をしている
仙台市沿岸部や、北の石巻、南にある亘理町に思いを馳せると、
そして、原発事故で住民が退避を余儀なくされた町……。
(国が責任をもって全員強制退去とすべきだったのに、
「問題はないが念のため」と言い、住民は戻れると今でも信じている)

放射能の恐怖と闘いながら作業をしている、東電の下請け会社社員や
消防や自衛隊……。

仙台市の南西部で、子供たちが遊んでいるゲームセンターの光や音も、
ホールに展示されている真っ赤なフェラーリF40に降り注ぐ、
吹き抜けの高い天窓からの太陽光も、
館内の照明を控え目にし、BGMを自粛しながら営業している空間も、
あまりに隔絶していて、現実感がなく、私は映画の中にいるような
錯覚を覚えました。


福島原発の事態が収束するのはまだまだ先……

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●おしまいに
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とにかく何をするにも健康第一です。

皆さんも、どうぞ、お身体をいたわって下さい。
身体の面倒を見ることで、心が休まることも多いです。

音楽を聴いたり、身体を動かしたり、好きな番組を観たり、
私たちの分まで楽しんで、娯楽施設なりで遊んで、
好きなものを買い(それが被災地産ならなおグッド)、
消費や流通をスムーズに保っておいて下さい。

身体にたとえると、消費は栄養素、流通は血液のようなものですから。

ではまた!(^^)ノ 

 

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