No.110 解離<6>うつと幻聴・自殺の衝動&心の深いキズと病気  (090215)

■ 110号の内容 

☆臨床心理学講座 多重人格(解離性障害)の症状<その6> 

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● うつ病と幻覚 
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細川貂々さんがご主人のうつ闘病を描いた実話コミック
『ツレがうつになりまして。』 ツレがうつになりまして のなかに、
『シュナイダーの一級症状』がいくつか現われている場面があります。

うつになった「ツレ」さんがまだ会社をやめられずにいたとき、出勤途中、
悪意と批判と侮蔑に満ちた何者かが、ツレさんに、線路に飛び込めと巧妙に
アジテイト(煽動)する声、ひらたくいえば『幻聴』が起こります。

これがシュナイダーの一級症状の、
(1)考えが声で聞こえる 
ということであり、
(3)自分の行動(存在価値)を否定・批判・批難する声が聞こえる、
(6)異質な考えが(無理矢理)注入される、
(9)自分のものでない衝動に突き動かされる
に相当するとみてよいと思います。

<※ 上記項目は直訳でなく、私の解釈もくわえています。>


それで? 
幻聴に惑わされた「ツレさん」は? 

 ……?!

自殺しようと足を前に出して……そのあと……?

 ……?!


線路に飛び込む寸前で、知人に声をかけられ、われにかえり、
間一髪、難を逃れることができました。危なかったですね。(;^_^A 

 
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● 個人的病歴診断……神経症か離人症か統合失調症(精神分裂病)か
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私自身の話をすると、1988年のワンシーズン(夏から秋)の『闘病』
というか『セルフセラピー(自己治療『』期間、一番苦しかったときでも、
シュナイダーの一級症状のうち、とくに、
統合失調症(精神分裂病)に目立つ症状、
「自分の考えが伝わって広がってしまう」とか
「異質な考えを注入(?)される」、
「誰かにつけ狙われている。危害を加えられる」などの、
恐怖感覚は一度も感じたことがありませんでした。

だから自分は統合失調症(精神分裂病)でなかっただろうと考えるのですが、
しかし、多くの書籍やインターネット上では、「幻視や幻聴・幻覚があるのは
統合失調症(精神分裂病)」と断定する意見が多く……。

でもこれはどうやら、臨床研究が進み、修正が加えられる前の
古い情報だったようです。


『多重人格―知られざる心の病の真実』服部雄一著、60ぺージの記述が参考になります。

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 (6)シュナイダーの一級症状 
 幻聴はシュナイダーの一級症状のひとつである。一九三九年にシュナイダーは
精神分裂症の症状として一一の症状をまとめあげて、その後、精神分裂症の症状
として受け入れられるようになった。しかし、一九七〇年代には、分裂症以外に
も一級症状があるという報告が増えて、情緒障害、躁うつ病、うつ病にもあるこ
とが発見された。やがて、多重人格にも一級症状があると報告されるようになった。
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さきほど挙げた例でも、
うつの「ツレさん」に幻聴や「させられ体験」が起こっていますし、
幻視は、じつは不安神経症の人のなかにも、起こる人には起こります。

本のタイトルは忘れてしまいましたが、以前読んだ、日本人精神科医の著書に、
赤いドアが現実のなかにくっきり見えて、そのドアが開いていく幻視
――ドアの向こうにあるのは非現実的な空間――を訴える患者さんの例が
載っていました。
「神経症の人はそれが幻視だとわかっているから毎日が壮絶な苦しみ」とあり、
患者の心理をわかってくれる先生もいるのだと、ひそかにホッとしたものです。

ここまでの考察から、結論として、ひとつの仮定を立ててみました。


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 衝撃的体験・心の傷(トラウマ)が癒される機会がなかったために罹るこころの病気 
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   1群        2群             3群
  多重人格  >  解離性障害(離人症)  ≧  PTSD・うつ・パニック障害・神経症
                               (↑順不同・併発している場合も)
****************************************************************************

【注釈】
★ 一番左の多重人格が一番病気として重く、2群、3群の症状もある。
★ 2群は1群を含まないが、3群のいずれかまたは大部分を含む。
★ 3群にも1群の症状はないが、2群の症状をもつ場合もある。
   とくにPTSDは多重人格とも解離性障害とも密接な関係にある。
★ 3群には3群内の症状だけで収まっている例も少なくない。
 (たとえば、解離性障害がない鬱病(うつ)・神経症の人が多い、など)

※ちなみに、『解離性人格障害』という概念はなく、誤りです。

上の図式は、多重人格(解離性障害)と、パニック障害、うつ、神経症との関係だけに
とくに今回は着眼したため、かなり大雑把です。
折りをみてより細かい修正や見直しもかけていくつもりです。(^^) 

さて、これまで私がさまざまな本を読んで構築してきた概念は、
ちょっと使い勝手が悪いものでした。(^^; 
      ↓ ↓ ↓ 
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統合失調症(精神分裂病)vs. 境界例(ボーダーライン) vs. 強迫/不安神経症
<精神科の病気・精神病>−−−−−<中間>−−−−−−<精神病でない>
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                ↑ ↑ ↑ 
先生によって考え方もいろいろなのですが、
私が多くの資料にあたった限りでは、おおむね、このような意見が多数派でした。

でも、これではうまく収斂させられない(説明がつかない)部分が、
自分の例でも、他の人の例でも、かなりありました。


でもさきほどの新しい図式と入れ換えると、
私が苦しんだ病気についても、それを通して他の方の例についても、
フラットにぴったり(☆!)クリアになりました。(^o^)


○多重人格(解離性障害)とPTSDが密接に関連していること。
○『神経症』の範疇に、解離性障害も、多重人格までも含まれること(!)。
○幻視も、幻聴も、幻覚も、させられ(あやつられ)感も、
統合失調症だけでなく、心が弱って病気になっているときには、
誰にでも起こり得る症状である、ということ。


この3つのことがらは、この『多重人格 知られざる心の病の真実』から得た
とても大きな収穫でした。(^^) 

・・・・・


以上で、
『多重人格―知られざる心の病の真実』服部雄一著 関連のシリーズ、終了です。

備考 :
上のふたつの図式は、忙しい人にもパッとひと目でわかるように
かなり簡略化しています。
このメルマガの目的は、なるべく広く多くの一般の人にもわかりやすく、
へんな目でみられがちな心の病気について、理解を深めていただくための
知識や情報を提供するのが目的なので
短い文章のなかで、これはこれ!と一言で指し示すための
ひとつのプラットフォーム(基準)として掲げてみました。

でも……本質から大きくは外れていないだろう、と思います。(^^) 

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