No.107 解離<3>解離現象を起こす子供の内面世界  (090207)

■ 107号の内容 

☆ 臨床心理学講座 多重人格(解離性障害)<その3> 
  虐待される子どもが解離するときの精神状態 切り裂かれるこころ 

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こんにちは。平井です。(^^) 
今日は 多重人格(解離性障害)についての3回目です。

●前回のまとめ :

虐待者は子供の逃げ場を封じてから、外の人にわからないように虐待を行う。
虐待は、親から子への「生きるな!」というメッセージに他ならない。 
虐待する親も、かつて虐待の被害者だったことが多い。
(※ただし、虐待された子が全員、のちに子供を虐待する親になるとは限らない)

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    ■■■  多重人格(解離性障害)―<3>―  ■■■
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健康な人でも、失恋・離婚、大切な人との死別、仕事の失敗など、
強い精神的ショックを受ければ、一時的に茫然自失状態になります。

解離性障害は、それの何百倍、何千倍もの強烈な、決定的な
心的外傷(トラウマ)が、無力な子供を襲ったときの『反応』にすぎません。


人の心が身体から解離するということは、解離しないではおられないほどの
壮絶な虐待を受けるということ。

解離を体験した(体験するような酷い目にあった)ことが一度もない、
普通の社会人にはもちろんのこと、
患者と面と向かい、接して治療に携わっている研究者や専門家たちにも、
それは理解や想像を超えた恐怖と苦悶です。

重ねて言いますが、解離は 子供が空想して創出するものではありません。


私は、多重人格(解離性障害)に苦しむ人も、トラウマになる体験がなく、
世話と愛情を与えられて育てば、健康な人に成長していたはず、と考えます。


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  ●解離の実態について
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日本語の『解離』という言葉だと、もしかしたら、人によっては、
ロープがほどけて沖にゆらゆら流されていく小舟のような、
あるいは、固体がどろどろに溶けて形がなくなるような
緩まる印象があるかもしれません。

でも、解離はリラックスとは正反対です。

解離は 英語で スプリッティング= " splitting " といいます。

" split "  には 
《 割れる・破れる・たてに引き裂かれる 》や、
《 (厚いもの・皮などを)はがす 》という意味があります。

今ここにいる自分自身から、いやおうなく即座に強制的に、無理矢理に
知らないどこかへ、強制移動させられる、といった感じです。


解離は 子供が主に近親者によって窮地に追い詰められ、苦しみ、
ギリギリまで我慢させられたあげく、気も狂わんばかりになったとき、
自然発生的に子どもの個人的な精神世界で起きる、自動的な現象なのです。


親から激しく容赦ない虐待を受けるということは、
ありのままの素の自分をその場で抹殺されるのに等しい。

その壮絶な心境は、
――うーん、一般の人にもわかりやすいたとえにすれば、
あたかも、人間に屠殺(とさつ)される家畜に自分がなったような、惨めで
激しい恐怖にみちた心境、といったらおそらく近いでしょうか……。
ちなみに、動物にも感情や心がありますよね。当然。―― 

性的な親権濫用(児童虐待)の場合は、これにくわえて、子どもは、
屈辱感や恥辱にも まみれてしまいます。

虐待に引き続いて起きる解離は、もともと調和のとれた子どもの平和な
内なる精神世界が一気に破壊され、天変地異に近い現象となります。

自然界で起こる火山噴火、地震、地殻変動、竜巻や津波ほどの膨大な
(目に見えない)エネルギーが、子供の自我を、日常の意識から根こそぎ
もぎ取り、別次元の、天文学的に巨大な闇や渦のなかに放り込む、

これが、解離現象のメカニズムです。


このように、もとの自分を破壊しながら引きちぎれていくのですから、
解離の瞬間は、自由意志を無視されたものであり、強い恐怖をともないます。


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  ●解離の瞬間は覚えていない
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解離する寸前とその瞬間、何が起きているのかというのは、
パニックになっている子ども本人にも、ほとんど自覚されません。

恐怖と苦痛と衝撃でひどく混乱していますし、
まぎれもなく現実に、(肉体や精神の)生命の危機と感じているうえ、
わけのわからないエネルギーに巻き込まれて自己を裂かれるのですから、
私が今このメルマガを書いているように、何がどうなっているのか、
終始一貫して、理路整然と理解して、他人に伝えるなんてとても無理です。

そして、『虐待家族の「仔(こ)」』のアレックスのように、

○多重人格(解離性人格障害)・解離の原因になった、あまりにも
 ショックで屈辱的で辛すぎる虐待行為がなされたことも、
○無理無理耐えているうちに、解離の前兆の変化があらわれたことも、
○見えない何者かによって、無理矢理に解離させられたことも、
子供は、表面の意識からは消して(抑圧して・記憶を喪失して)しまいます。

・・・・とはいえ、経験した事件も記憶も感情も、すべて潜在意識にしまいこまれ、
存在そのものが消えてなくなる(風化する)ことはなく、

癒されない傷は、身体が成長しても、何十年も年月がたっても、
適切な治療が行われない限り、そのまま意識の下で血を流し続けます。


癒されない傷と、この子が小さいときに痛烈に思い知らされた、
この世・人生への絶望感は、潜在意識に「人生はこういうもの
(人生脚本・人生のシナリオ)」として第一義に深く根をおろします。

その個人が日常生活を送るなかで、虐待を(潜在意識に)連想させるような
場面に遭遇すると、心のメカニズムは、即座に防衛本能として反応し、
(無意識に・自動的に)解離現象を発生させ、その結果、本人が肉体を
「留守」にしているあいだ、別の人格が本人の代わりをつとめる。

もともとの本人の記憶に、空白の時間帯が生じるようになるのです。


〜 つづく 〜


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